【高校野球】市立尼崎が報徳学園に惜敗。それでも見せた「市尼の野球」

第100回高校野球選手権記念東兵庫大会の決勝戦が2018年7月28日に行われ、市立尼崎高校が惜しくも報徳学園に敗れました。

振り返れば、今年のチームは沢山試合を観戦させてもらい、この夏も長く楽しませてもらいました。

振り返っていきたいと思います。

東兵庫大会決勝戦は報徳学園に惜敗。それでも見せた「市尼の野球」

市尼は竹中君、報徳は渡辺君と両チーム、サウスポーが先発。お互い、この夏、最高のピッチングを見せバックも堅い守りでサポート。

1時間37分の試合時間がそれを物語っているように思います。

序盤から好機を作った市尼。

今大会は全試合で二桁安打を記録しながらも、この日は一点が最後まで遠かった。

最終回2アウト。2年生の森田君がここまでチームを支え続けた主将である佐藤君に繋ぎました。

森田君、そしてチーム全体から「何としても主将に繋ぐ」そのような声が聞こえたように思えました。チームスローガンである「不撓不屈の精神」を最後まで見ることが出来ました。

結果は、報徳学園が5回裏に得た2点を死守し、見事8年振りに2-0で優勝を飾りました。

【市立尼崎の今夏の勝ち上がり】

2回戦:市立尼崎8-6尼崎小田(延長10回)
3回戦:市立尼崎8-1須磨友が丘(7回コールド)
4回戦:市立尼崎3-1神港学園
準々決勝:市立尼崎7-0西宮東(8回コールド)
準決勝:市立尼崎12-6神戸村野工
決勝:市立尼崎0-2報徳学園

心から労いの言葉を贈りたいと思います。

両校お疲れさまでした。

光った主将力。佐藤君を中心に一体感を感じた今年の市尼

市尼の竹本監督は、今年のチームを「佐藤のチーム」と言っていました。

振り返ると、秋、春、夏と沢山試合に観に行かせて頂きました。

球場に一際、甲高い声が響く。その声の主は、主将であり正捕手である佐藤君でした。どんな境地でも、その声が枯れる事は無く、チームを鼓舞。その姿は昨年秋の初陣・雲雀丘高校戦からこの夏の最後の決勝戦まで変わりませんでした。

今年の市尼の3年生達は、1年生の時に明石商業を破り、優勝を果たした瞬間を見ている世代。

当時のキャプテン前田君は抜群の統率力を誇ったと聞いています。優勝時の正捕手である谷尻君は度々マウンドに駆け寄り、投手をバックアップする姿が今も目に焼き付いています。今大会も谷尻君のキャッチャーミットを譲り受け、それをずっと使用していたとのこと。

佐藤君はそんな二人を含め、優勝を経験した先輩たちを見て育ちました。

先輩達の背中から感じたものを受け取れる謙虚さ、それに加え、彼本来の人間性。燃え滾る闘志の中で「野球を楽しむ」ことを忘れない心、それを加えたのが佐藤君であり、佐藤君が作り上げたキャプテン像でした。報徳学園戦の最終回、打席に入った選手が笑顔だったのが印象的で、まさに今年のチームカラーを体現した瞬間でした。

スター選手は不在。それでも勝てる「応援されるチーム」に

秋の大会は4位。

春の大会は3位

夏の大会は2位。

振り返ると今年のチームは抜群の安定感を誇っていました。ここ数年では、最も勝ち星を重ねた世代だったと思います。

とりわけ、報徳学園の小園君のようなスター選手がいる訳でもありません。それでも束になると強かった。

筆者の私は市立尼崎高校野球部OBで、恐縮ですが少しだけ昔話を交えながら、今チームを振り返らせてもらおうと思います。

当時、私が高校1年生の時に、夏の決勝戦まで進むことが出来ました。高校通算50本塁打以上を放ったスラッガー水江さん、140㌔を優に超える畑投手などがいました。ほとんどの選手が180㎝クラス。また、私の世代でもMAX147㌔を投げるエース、ほっともっとフィールド神戸の右中間に本塁打を放つ右打者、中学時代日本代表に選ばれた選手などがいました。少し上の世代に目を移すと、巨人に行かれた金刃さん、日ハムに行かれた宮西さんなど、このように大会の目玉と成り得る選手が数多く所属。それでも、優勝は一度も出来ませんでした。

ここ数年は、再び選手のレベルが上がってきているのも確かですが、昔と今で違うものは一体何か。

外野から見た感覚的な話ではありますが、私が感じる違いは、当時は個の技量で戦い、今は全体が束になり一体感を持って戦っている。そして「応援されるチーム」になっているところです。

どちらが結局、勝てるのかという話になると、後者の方なんだろうなと感じています。勿論、当時も全力で甲子園に向けて一つになって戦っていましたし、応援も沢山して頂いてました。ですが、ここ数年は更にその1枚上をいっている印象です。今年、決勝を戦った報徳学園の神頭主将も「スタンドと選手の一体感が凄くて押し潰されそうになった」と話していました。

全体が束になると言うのは、レギュラー陣のみでなく、ベンチ入りメンバー、スタンドの選手、父兄の方々、学校関係者、ブラバン、チア部、OBなど全てを含みます。今年も市尼のスタンドからの応援は凄まじい大声援でした。このように全体が一つとなり「応援されるチーム」になることは、容易な事ではありません。

普段の私生活、学校生活、地域の方々との付き合いなど。特に高校野球に関しては世間の注目度も高く、所作一つ一つを色んな方に見られています。まさに日頃の行いの積み重ねで、何か一つ欠けるだけで、応援してくれる人は減ります。

私が現役の頃から、竹本監督には口酸っぱく「普段の行いを正しなさい 」と言われ続けました。

時を経て、竹本監督が目指した「高校野球の在り方」がやっと今、実を結び出したんだと思います。特に今年のチームに関しては、それを感じることが出来ました。本当に素晴らしいチームでした。

私は現場の人間でも無いですし、ただの外野の人間です。偉そうな事を申しているかも…と自分自身も思いますが、私からはそのように今の市尼ナインは映りました。

終わりじゃなく始まり

決勝戦で敗れてしまいましたが、これは終わりでは無く始まりを意味すると私は思います。

これは市尼に限らず、高校野球に限らずの話です。

どの学校も初優勝に至るまでに、計り知れない程、涙を飲んでいった数多くの先輩が存在します。創部1年で優勝を手にするなど、まぁ奇跡に近い話です。

涙を飲んだ先輩方は後輩に自分たちの夢を託し応援し、後輩達はその想いを受け継ぎ、また更に次世代に継承していく。

それが強さの源となり、チームの伝統になるんだと思います。

「ファンの数」=「チームの強さ」

私はそう思います。強豪校がいつまでも強いのは、伝統が受け継がれ「応援されるチーム」で有り続けるからだと思います。技術だけ抜きん出てても、誰にも応援されないチームに優勝は無いと思います。機械がスポーツをしている訳ではありません。

勿論、現役でプレーしている選手がファンの為になど思う必要は有りません。

自分達のやるべきことをひた向きにこなし、良い伝統は次世代に残していく。

そんなチームが市尼を含め、尼崎の学校に増えることを願いながら、今夏の高校野球レポートを終わらせて頂こうと思います。

三年生の皆さん、父兄の皆様、スタッフの皆様、本当にお疲れさまでした!

沢山の感動をありがとうございました。

最高に楽しめた夏でした!!また秋にお会いしましょう。

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