手作りの無料野外音楽フェス「伊丹グリーンジャム」にはなぜ2万人以上も集まるのか。

伊丹グリーンジャム

2019年9月22、23日に伊丹市昆陽池公園で2日間に渡って開催された関西最大級の無料ローカルフェス「ITAMIGREENJAM’19(伊丹グリーンジャム2019)

イベント全体のレポートはこちらの「【PUFFYも出演】伊丹グリーンジャム 2019初日(9月22日)の様子を徹底レポート!」記事からどうぞ。

2018年には2万5千人の来場者を呼んだグリーンジャム。行政のサポートのない民間・市民で成り立っている野外フェスとしては極めて異例とも言える怪物クラスの来場者数となっています。

この記事ではイベントを支えるボランティアスタッフの横顔なぜグリーンジャムには人が集まるのかに迫っていきます。

人・音楽・自然が一つになったイベント「ITAMIGREENJAM’19(伊丹グリーンジャム2019)」

2014年に初開催された「ITAMIGREENJAM(伊丹グリーンジャム)」は今年で6年目を迎えた。(台風で中止した年も含む)

筆者が訪れたのは9月22日の初日。初めて参加させて頂いたのだが、まず驚かされたのは参加者の多さ。

伊丹グリーンジャム

初日は、午後から台風の接近予報が出ていた。その中でのこの人の数には正直驚かされた。なぜ、ここまで人が集まる野外フェスなのか。それを探っていきたい気持ちが高まったのである。

ぐるりと会場を一周し、少しずつ伊丹グリーンジャムが何なのか見えてきた。

まずはお客さんの層。ファミリー層が多く、会場内は子供たちの笑顔が溢れている。野外フェスによく参加すると言うボランティアスタッフに話を聞いてみても「ファミリー層が多い野外フェスはそうない」と話す。

伊丹グリーンジャム

この朗らかであたたかい空気は子供たちの笑顔によるものではないか。

そして恐らく通常の野外フェスで見かけることの少ない、おじいちゃん、おばあちゃんの姿も。まさに三世代参加型フェス。これこそ伊丹グリーンジャムにしか出来ないことである。

 

私が感じるもう一つの伊丹グリーンジャムの魅力は、自然豊かな昆陽池公園で開催されることだと思う。

伊丹グリーンジャム

区画整備された広い会場ではなく、池、木、川、丘など自然も一体化した構造となっている。生い茂る樹を省くのではなく、その樹も一緒に使っている。

伊丹グリーンジャム

そこにある自然をそのまま使う。まさに自然と人の手がうまく融合した手作り感がグリーンジャムならではのあたたかい空気感を演出してくれている。

勿論、会場全体を一挙に見渡せる場所も無い。だが、これが思わぬ好奇心を生み出してくれているようにも感じる。

伊丹グリーンジャム

適切な言葉かわからないが「ドン・キホーテ」のジャングル感と言うとわかりやすいだろうか。自分の足で歩き、素敵なお店やモノを発見する喜びを感じることが出来、何とも言えないワクワク感を演出してくれている。

ボランティアスタッフ・出店者が伊丹グリーンジャムに魅かれる理由

伊丹グリーンジャムには総勢70名のボランティアスタッフが集まった。勿論、無給である。

設営、交通整備、パンフレットの配布、会場整備、販売、救護、カメラ撮影と多くの役目を担ってくれている。当日もLINEのグループトーク内で、応援が必要な箇所などを連絡しあいイベントを支えてくれていた。

伊丹グリーンジャム

FUJI ROCK FESTIVALやその他の音楽フェスでも撮影経験があるつちもりさんもボランティアスタッフとして参加。「幅広い世代の姿を写真に収めることができる。野外フェスはこれまで多く撮ってきましたが、これは伊丹グリーンジャムならでは。」と話してくれた。

伊丹グリーンジャム

こちらは出店者のwinbell.(ウィンベル)代表・石原優作さん。伊丹グリーンジャムをきっかけに脱サラ。元々、グリーンジャム代表の大原さんと知り合いだった石原さんは、大原さんの「地元伊丹を盛り上げたい」と言う熱い想いに共鳴し、大手鞄メーカーを離れ、故郷伊丹に戻ってきたそうだ。

>>winbell.(ウィンベル)|公式サイト

伊丹グリーンジャム

普段は主婦をされている方に話を聞くと「以前の昆陽池公園は薄暗く、近寄るのが少し怖かったんです。でも、ここ最近は本当に明るくなって。間違いなく伊丹グリーンジャムはそれのきっかけを作ってくれて私も力になりたいと思って参加しています。」と話してくれた。

参加者の男性は「メインステージの横に白鳥がいる野外フェスなんてないですよ!これもグリーンジャムの素晴らしさです」と自然の豊かさも強調してくれた。

伊丹市に住んでいないボランティアスタッフも多く見られた。これだけでもグリーンジャムが伊丹市のシティプロモーションにいかに貢献しているかがわかる。

「最近、伊丹ってすごいパワーありますよね!伊丹市に住んでないですが色んな話聞きますよ」の声も飛んでいた。

伊丹グリーンジャム

ボランティアスタッフの一人の結木裕さん(Twitter:@youking122)は、実は今回のグリーンジャムにアーティストとして応募。一次審査は通過するものの残念ながら落選。「勉強も兼ねてボランティアに参加しています」と言う結木さんのグリーンジャムや音楽に対する熱い思いを行動から感じることが出来た。オーディションには約350組が参加したようで、アーティストの方にとっても大きな舞台となっていることがわかる。

グリーンジャム2019

現在は東京を拠点に活動するデザイナーの田中かずやさんも万感の思いを吐露。「僕は根っからの伊丹っ子で、昆陽池公園は青春時代を過ごした思い出の場所。そんな思い入れの深い地元でイベントに携わることが出来るのは夢のようです。」

田中さんの他にも、ため込んだエネルギーを放出するかのように、伊丹市への地元愛からグリーンジャムに参加される方も多く見られた。

伊丹グリーンジャム

このようにボランティアスタッフの顔触れは、主婦から大学生、また野外フェスが元々好きな方や銀行マン、介護士など多様多種な方が参加されていた。

皆さんに伊丹グリーンジャムの魅力を問うと、共通して「手作り感」と言った言葉が返ってくる。誰か一人が主役でもなく、全員がそれぞれの持ち場で自分の出来ることを行い、全員が主役のイベントなのだろう。

「市民の持ち寄りでやっているところが重要」代表・大原さんの思い

代表の大原智さん(35歳)に伊丹グリーンジャムへの思いを伺ってみた。

伊丹グリーンジャム大原さん

「ほとんどプロの方が入らず、市民の持ち寄りでやっているところが重要だと考えています。”(自分に)できることなんかやるわぁ”って感じで人と人が協力しあうことが豊かな時間だと思っています。

語弊があるかもなんですが…例えば日本代表の試合や震災のときなどリスクがあったときなど、そういったときに”できることやるよ”ってなりがちなんです。その時の人が繋がり助け合う風景は豊かな時間なんですよね。

でも、リスクなんてなくても、伊丹グリーンジャムでは、皆で持ち寄ってこれだけ豊かなことができることを現わしているイベントなんです。」

イベント開催当日の忙しくされている中での短い時間のインタビューだったが、”持ち寄り”の言葉がこの日の取材の答え合わせが出来た気分であった。あたたかい空気に包まれているのは、みんなが自分の出来ることを持ち寄っているから。そして、助け合いで伊丹グリーンジャムは成り立っている。助け合いの輪が2万人以上の人を繋げているのであろう。

伊丹グリーンジャム

伊丹グリーンジャムのように行政のサポートもなく、民間・市民で成り立っている野外フェスは、ほぼ過去に事例はないそうだ。今年の来場者数は、私の手元にまだ情報は来ていないが、間違いなく万人レベルの大規模来場者数となっている。(2018年で2万5千人来場)

「今は僕がこのイベントをやっているというより、イベントが先行して僕が必死についていってるって感じ。」と胸中も語ってくれた。名実ともに伊丹市の枠を超え、伊丹グリーンジャムはこれからも進化を遂げていくに違いない。

伊丹グリーンジャム

あっという間に取材当日は終了した。

ちなみに2014年から開催されたグリーンジャムだが、2016年・2017年と台風が直撃している。そして、今回の2019年も台風が接近。

空を見上げると、昆陽池公園の頭上を行く伊丹空港行きの飛行機の航路に違和感を覚えた。後で調べると、年に3%の確率でしか発生しない逆ラン(航路がいつもと真逆)だったようだ。

このようにイベント当日は何かが起こるグリーンジャム。

主催側からすれば、度重なる苦労あっての当日。苦渋の思いは察するに余り有るが、ここまで来ると自然との駆け引きですらグリーンジャムの手作り感の醍醐味とも感じてしまう。人・音楽・自然が一つになったイベントだから。

来年こそは皆の思いを乗せて、自然が太陽を持ち寄ってくれることを願い最後とさせて頂きます。

心温まる空間の取材をさせて頂き、誠にありがとうございました。

 

※イベント全体のレポートはこちらの「【PUFFYも出演】伊丹グリーンジャム 2019初日(9月22日)の様子を徹底レポート!」記事からどうぞ。